2024.09.01 導入実例

「『サーベイランス』血液関連感染のポイント」

日本赤十字社医療センター 感染対策室 感染管理認定看護師(取材当時)
西川 美由紀 先生

サーベイランスの実施効果

CDC(米国疾病予防管理センター)の定義によると、サーベイランスというのは「感染管理に関わる対策の立案、導入、評価に不可欠な医療関連感染に関するデータを継続的、系統的に収集、分析、解釈し、その結果を改善できる人々とタイムリーに共有する活動である」とされています。つまり、データを分析し改善していくためにフィードバックしていくというのがサーベイランスの目的となっています。サーベイランスの実施によって得られる主な効果としては、①日常的な発生率(ベースライン)の明確化と低減、②感染対策の評価と改善、③アウトブレイクの早期発見、④職員教育、⑤第三者評価の5つがあります。

サーベイランスの計画について

サーベイランスを行うにあたっては、発生状況を正確に把握できる「ものさし」、診断(判定)基準が必要となります。そのためにどのデータをどこから誰がどのように収集するか、感染の定義は何かを含めた計画を立案します。より精度の高いサーベイランスデータを得るためには教育を受けた一定の人(人々)がタイムリーにデータ収集、判定を行う必要性があり、労力、時間が節約でき効率的に正確なデータを収集できる方法を選択していきます。

サーベイランスの実際について

デバイスサーベイランスは、感染リスクの高い集団や処置に焦点を絞ることで、サーベイランスの目標がより明確になります。当院では、移植を行っている血液内科病棟で中心静脈カテーテル挿入患者の血流感染(CLABSI)のサーベイランスを行っております。定期的にデータの収集と結果を分析(図1)し、半年から一年に一回フィードバックを医師、または看護師に実施しております。フィードバックは、サーベイランスの結果(アウトカム)と共にケアバンドル等のプロセスの評価も用います。また、フィードバック自体が有効な介入となり得ます。

図1 サーベイランスの実際
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